アンティークという品質
アンティークは「相対品質」という考え方。
最適なレストレーション(修復)をご提案し、また正しくお伝えすることが私たちの使命です。
ある一定の水準以上にある品質を「絶対品質」と呼びます。
食品にしても、自動車にしても、新しくつくられる製造物には、必ずクリアしなければならない
絶対的な品質レベルがあります。
それでは「修復」という製造工程が必要になるアンティーク家具の場合にはどうでしょうか?
例えば、田舎で使われていた古いエルム材のカントリーチェア。
積年の傷も「味」として好ましく思える椅子です。
逆に傷一つない、きれいな状態では違和感を感じるかもしれません。
でもその一方、つやつやの“フレンチポリッシュ”で仕上げられた、華麗なマホガニーチェアはどうでしょうか?
傷だらけではちょっと悲しくなりますね・・。
このようなチェアの場合には傷はできる限り補修しなければなりません。
つまり、アンティーク家具をひとくくりに考えた場合、
求められる品質レベルは商品によって違う、という事なのです。
その家具の持っている性質や機能を踏まえることで、さらに、その家具をお使いになる方の意識によっても、
その品質レベルは変わってまいります。
もちろん最低限クリアしなければならない水準はありますが、
新しくつくられる家具と比較して、その品質レベルはとても相対的です。
すなわち、アンティークは「絶対品質」ではなく「相対品質」の商品、と私たちは考えています。
相対品質のアンティーク家具では修復職人の技量はもちろん重要ですが、それ以上に重要なのが「見識」です。
何もかも新しく一新すれば良いわけではないし、何もかも「味わい」で良いはずはありません。
アンティークを的確に判断できる「眼」をもって、
まずはお求めいただく方に最も最適と思われるレストレーションをご提案する。
それこそが相対品質のアンティークでは何よりも大切なこと、と私たちは考えています。
ちょっと読むのが煩わしいかな、と思われるくらいの長い説明文と、
必要以上に点数の多い商品写真は、そのためとご理解ください。
何故そのアンティークにそのような修復を施したのか、または何故それを施さなかったのか、
きちんと趣旨と内容をお伝えすることを目的としているものですから。
直す側の都合だけで修復することがあってはならないし、手がけた内容はすべてオープンにしなければならない。
いずれ日本のアンティークは、いや、世界のアンティークは全て、そうなるであろうことを私たちは信じています。
※ 具体的なアンティーク家具の品質ガイドラインは、こちら をご参照下さい。
デニムのアンティーク家具